研究概要 |
本研究の目的は,映像のコンテンツを利用することにより,高品質なインターネット放送サービスを実現することにある.ここでは,空間解像度,時間解像度,フレームサイズを対象に,コンテンツ種別を考慮した転送レート制御方式を提案した.具体的には,多数のユーザが映像の主観品質について同じ嗜好傾向を持っていると考えられるグループにコンテンツを分類し,このグループ毎に映像の主観品質に影響を与える要因(品質パラメータ)を分析した.昨年度の研究において,ユーザ実験を行うことにより映像コンテンツと主観品質の関係を定式化している.本年度は,具体的なコーデックを対象に,提案手法の適用範囲を明らかにした.本研究において規定している各品質パラメータの変更方法は,サーバの符号化特性やサーバが持つ品質制御機能等,サーバの実装に大きく依存する.そこで,これまでの分析結果を実験システムに適用し,提案手法の実際のストリーミングサーバへの実装方法を明らかにした.さらに,テスト映像の特徴を客観評価尺度によって表現することにより,与えられた映像を本研究において定義したグループに分類する方法を提案した.その結果,映像が適切に分類されることにより,制御精度の向上が見られた.具体的な成果を以下に示す. 1.MPEG-1への適用 MPEG-1エンコーダとしてTMPGEncを利用し,コンテンツと主観品質の関係式に対する制約条件を明らかにした,ここではコスト関数としてエンコードレートを利用し,コスト一定の条件の下で,主観品質を最大にする制御手法を提案した. 2.グループへの分類方法の確立 映像の特徴量を,意味的パラメータ(音声の重要度,娯楽性など)と視覚的パラメータ(動きの激しさなど)の2種類を組み合わせて表現することにより,映像をグループに分類する場合の精度の向上を実現した.
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