研究概要 |
本年度は自己組織化可能なセンサー網のモデル化を最重点項目とし,分散センサーフュージョンに対する調査とその基礎的研究を行なった. 1.センサー網のモデル化 自己組織化可能なセンサー網のグラフ理論的モデル化に関しては,センサー網を含むアドホック無線ネットワークに対する以下の特徴を持ったモテルを構築した. (1)動的に変化するネットワークを取り扱える. (2)ネットワークのスケーラビリティに対処可能な階層的構造(クラスタ構造)を持つ. (3)最も基本的な操作であるブロードキャストが効率的に行うことが出来る. 今後,効率等を計算機シミュレーションにより検証するとともに,BLUETOOTHを用いた実機によるモデルの検証も準備している.このモデル化の結果は,Hawaii International Conference on System Sciences(HICSS-39)に受理され,2006年1月に発表した. このモデルの下では,ブロードキャストが効率よく出来る.さらに,この操作を拡張したマルチキャストやゴシップ,また,センサー網では必須の機能であるデータの収集(ギャザリング)などの操作についてや,マルチチャネルなどのモデルの拡張も予定している.また,本研究で構築したモデルに関しては,理論的に解明すべき点が多く出てきており,そのうちのいくつかについては現在検討中であり,さらなる結果を得ることが次年度以降の研究課題である. 2.分散センサーフュージョンの調査 従来のデータフュージョンで用いられている確率推論アルゴリズム,ファジー論理,遺伝アルゴリズム,クラスタアルゴリズムなどに関する調査を行なった.従来の方法のいずれが分散センサーフュージョンに適用可能あるかを以下の点を中心に考察した.(a)故障耐性の高いロバストなセンサーデータ処理,(b)ノードでのフュージョン能力とセンサー網全体としての役割,(c)センサー網の自己組織化とセンサーフュージョンの関連性.今後,これらの調査を基に,上記モデル上での分散センサーフュージョンを検討する予定である.
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