研究概要 |
数百から数千もの多数の小型のセンサノードを広範囲に分布させるようなセンサノードが実用化されつつある.このようなセンサノードは一般的に小容量のバッテリで駆動されるため,その通信距離は限られている.したがって,大規模なセンサネットワークでは,センサノード同士でクラスタを構成して一旦クラスタ内で情報を収集し,クラスタヘッド間でマルチホップ通信を行なうことによってシンクノードにデータを収集する構成が考えられる.このようなセンサネットワークでは,シンクノードの近辺に負荷が集中することや,センサノード間の干渉によるパケット損失が発生することを十分考慮する必要がある.例えば,従来の研究ではネットワーク全体の消費電力を評価したものが多いが,ネットワークのどの部分の負荷が大きいのか,またセンサノードの寿命がどのような分布をしているかは十分に明らかではない.また,それらはクラスタの大きさなどのネットワーク構成パラメータによって大きな影響を受ける.そこで本年度は,このようなクラスタ間でマルチホップ通信を行なうような大規模なセンサネットワークを対象として,ネットワークの容量や消費電力を解析およびシミュレーションの両面から評価した.まず,シンクノードに近い隣接クラスタヘッドに単純に中継をする場合では,データフュージョンによる情報量の削減を行なわない場合,シンクノード近辺の負荷が非常に大きくなることが明らかとなった.つまり,この部分の消費電力も大きいため,電力の枯渇も早くなり,結果としてネットワーク寿命が短くなってしまう.そこで,シンクノード近辺の不要な中継を減らすことで,シンクノード近辺のノードの消費電力を大きく削減でき,スループットを2倍程度に向上できることを示した.
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