研究概要 |
本研究では,指先に装着した小型装置によって指先を圧迫することで,指先に対して疑似的な反力呈示をおこなう装置の試作をおこなった.アクチュエータには小型ギアモータを用いることによって,十分なトルクを確保すると同時に小型化を実現した.小型化と高速化のために,モータは,目標力に対応する駆動電圧への変換を行うオープンループ制御を採用し,駆動開始時に高電圧の加速パルスを印加した. 装置の特性評価を行った結果,高い再現性と精度が得られたものの,減速による約80msの遅延があったため,指先位置の速度変化を二次関数近似する接触予測アルゴリズムを提案した.さらに,指先速度による関数近似データ数の切り替えを行うことにより,十分な推定精度を得,遅延の保証を実現した.試作装置を用いて仮想物体を提示し,大きさ認知実験を行った結果,平均誤差4mmと十分な精度が得られた. また,一対多での力触覚の遠隔伝送Haptic Broadcastを目標に,物体と人体との間に直接センサをはさむことなく,筋活動電位を用いることで間接的に把持力を測定し,推定された把持力と指先変位から物体の弾性定数を測定して遠隔伝送し,さらに,これまで開発してきた反力提示と接触面積制御をおこなう柔らかさ感覚提示システムによって伝送された物体の柔らかさを提示する,遠隔柔らかさ感覚共有システムを開発した.8種類の物体の特性を遠隔伝送し,元の物体を回答させる識別実験を行った結果,物体の特性と回答結果は高い相関を示し,弾性物体の能動的把持感覚の遠隔伝送が十分に可能であることが実証された.
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