研究概要 |
アウェアネス情報にはいろいろな種類のものが考えられるが,本研究においては,「忙しさ」に着目する.忙しさは,他人に話しかけるなどのコミュニケーションを取りたいときに,実際にその行動を実行するか今しばらく待つかの判断の根拠となるアウェアネス情報である.本研究では,他者とのインタラクションの観点から,「他人もしくはシステムから割り込まれると困る度合い」と定義する. 人が他者の忙しさに気づくのは,他者のそのときの状況を見て気づくことが多いと考えられるので,これまで,その瞬間の情報から人の忙しさを自動的に推定することを試みてきた.しかし,実際には,主観的な忙しさはどのくらいの仕事(タスク)を抱えているかにも影響される,と考えられる.従って,本研究では,人が抱えているタスクを「〆切までの空き時間」,「タスクの〆切りまでの時間」,「そのタスクを行うために必要だと主観的に判断している見込み時間」の三つをパラメータとしてモデル化し,忙しさの推定法を提案した. この推定法を実用化するために,空き時間,タスクの見込み時間,〆切りまでの時間を知る必要がある.そのためのシステムとして,タスク/スケジュール管理システム「タイムラインナビ」を設計し,試作した.タイムラインナビは,この空き時間を利用してスケジュールとタスクを統一的に管理するシステムであり,従来のスケジューラではしばしば起こっていた,処理しきれないタスクを引き受けてしまうという事態を避けることができる. このほか,アウェアネス情報の応用として,音楽プレーヤシステム向けにアウェアネス情報の自動検出および楽曲選択/推薦手法の研究,および,周辺情報提示法への応用研究を行った.
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