研究概要 |
バーチャルリアリティにおいては,種々な力覚提示機構が提案されており,その有名なものとしては,Phantom, Spidar, HapticMaster, HapticGearなどが開発されている.しかし,それらは外部固定型が多く,使用時の制限になっている.そこで,本研究は力覚提示機構の自由度を向上させるためにウエアラブルな力覚提示機構を開発することを目的とする.ウエアラブルな機構を開発するためには,人間の生体情報を考慮する必要があると考え,人間の動作時に重要な役割をはたす筋肉に注目する.今回は,動作時の筋電位を測定し,筋肉の活性化パターンを検出する.動作時に筋肉の活性化を促進する目的で,活性化を妨げるように人工筋肉を配置したウエアラブルスーツを開発する. 初年度は,対象動作を[手を引く]動作として,アイスホッケーの防具や空気圧駆動方式の人工筋を用いて,重要な筋肉の動作を妨げるような人工筋を配置するウエアラブルスーツを開発し,それを被験者に着用してもらい,重要な筋肉の筋電位から求めた負荷曲線を基に,力覚を提示する実験を行った.その結果,重要な筋電位から生成した曲線を用いることにより,人間の動作感覚に適する力覚提示機構:の開発が可能であることの知見を得た.しかし,空気圧駆動方式の精度不足や軽量化の課題が生じており,解決する必要があった. 最終年度はDCサーボモータをベースとしたウエアラブルスーツを開発した.そして,DCサーボモータによる力覚を制御する制御回路の開発とC++言語を用いた制御ソフトウエアを開発した.そして,[物を持ち上げる]動作を対象として,被験者に開発したウエアラブルスーツを着用してもらい,筋電位を基に作成した力覚提示曲線を用いた力覚提示方法の有効性を検討した.ここでは,実際の動作時の筋電位も測定しながら,比較・検討も行った.その結果,提示した力覚曲線のパターンの有効性が確かめられた.そして,この方式に対比する方法として,CVT機構や風力を用いた力覚提示方法も検討した.
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