研究概要 |
図書館は,高価本や貴重本を含む図書を一定冊数購入しその範囲内でユーザに貸し出すことによって人類の知識の共有や文化の発展に役立っている.本研究では,このような図書館的な共同利用サービスにおいて,デジタルコンテンツをネットワーク経由で貸し出すことが可能となるシステムの開発を目的とする.このサービス成立の鍵は,コンテンツの同時利用数が,購入した利用権数を超えないことを保証して著作権を保護することである.これを実現するデジタルコンテンツ共同利用システムを研究開発する. 本研究の要点は,貸出期限及び同時貸出数制限付きでデジタルコンテンツを貸出・閲覧できるようにするシステムを実現するため,次のような技術を確立・実用化することにある. (1)正式な許可を受けたユーザのみがデジタルコンテンツを閲覧できるようにする. (2)貸出期限を過ぎたらデジタルコンテンツの閲覧を不可能にする. (3)貸出期限前においてユーザが利用権を返却できるようにする. これらの技術確立のために,本年度は基本的な処理手順を検討した.コンテンツを複数ユーザが共同利用する処理の流れと,そこに含まれるべきアルゴリズム及びプロトコルの要件,さらに数年〜10年後程度の将来におけるハードウェアやインフラ等の技術に関する想定に基づいて,システムを構成する基本的な各種ロジックを設計・開発し,動作を検証した.なお,本研究においては対象とするデジタルコンテンツを特定の種類に限定せず,広くマルチメディアを扱うことを目指すが,本年度においては基本的な各種ロジック等の開発に注力するため,コンテンツの例としては主にテキストを扱った.
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