研究概要 |
相関平均場近似は,マルコフランダムフィールド(MRF)や条件付きマルコフ場(CRF)を共分散の情報を保存しながら,確定的モデルで近似する新しい平均場近似モデルである.今年度は,前年度までに確立してきた,モデルの性能を評価し,顔認識問題などに応用した.まず,図形の内と外を計算する問題に対し,本手法はナイーブな平均場近似手法に比べ局所最小値に落ち込む率は格段に少ない,実際試験した問題では,従来法では40ヵ所中平均誤りは4ヵ所であるが,提案法では誤りは0であった.次に,相関平均場近似と識別学習モデルを組み合わせた,学習機械を提案し,顔検出問題に対し,99.8%の検出と0.2%の誤り率を確認した.この性能は,従来前処理や,データを工夫して達成し得た最高の性能に匹敵する.特に学習に用いたデータ数は従来法に比べ数分の1で同等の性能を達成したことはこの学習手法の可能性を示すものである.ちなみに,相関平均場近似をナイーブな手法で置き換えると,性能は95%,5%であった.最後に,本手法をジェンダー識別に適用し,従来のサポートベクトルマシンによる最高識別率と同じ結果を,手間のかかるパラメタ調整をすることなしに達成できた. パラメタ選択のない識別法は学習問題では大変重要な問題であり,このアイデアを,カーネルPCA+識別器でパラメタの自動選択手法として応用し,カーネル法の主要な手法であるサポートベクトルマシンと同等の識別性能が数分の1の計算時間で実行できることを示し,また事例ごとのあるいはクラス毎のカーネルパラメタ選択にも対応できることを理論と実験で示した.これらの成果は,主要な国際会議,国内の腫瘍学会の論文誌で発表した.
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