「人」-「ロボットやエージェント」-「環境」の3項間インタラクションを通した認知発達メカニズムの解明に向けて、以下の研究を実施した。 1. 「基本的なインタラクションの仕方の獲得が、さらに次の獲得を促進する」メカニズムに関して、人がロボットの学習の足場を次々に与えていくscaffoldingに注目し、scaffoldingが生じる学習系の構築と、それを用いた心理実験・分析を行い、ロボットが備えるべき機能の基本部分を実現し、残された課題を明らかにした。 2. 人がロボットやエージェントを誘導する場面において、「人が自由に発話した音声から意味を付与すべきフレーズの候補を切り出し、得られたフレーズ候補に対して、共起性や報酬に基づいて意味を付与するシステム」を構成する各要素技術を実装し、評価・改良を行った。システム全体の統合評価と改良は次年度に実施する。 3.ロボットが自律的に獲得した知識と、人とのインタラクションを通して獲得した知識を統合する方式を検討し、ニューラルネット・モジュールの組換えを基本演算とする計算機構上で基本部分を実装した。全体の実装および評価実験・改良は次年度に実施する。 4. リカレント・ネット中に獲得された知識の操作可能性にいての基礎検討を行った。 5. ロボットにおける行動の獲得と言語の獲得が互いに他方の獲得を促進するメカニズムの基礎検討を行った。 6. 意図推定に際して、自らの行動によって相手の行動を誘導し、意図の推定精度を高める方式を検討するための予備実験を行った。
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