研究概要 |
本年度は,以下の研究成果を得た. ○Order Encodingの考案: 整数領域上の線形の制約充足問題(CSP)について,SAT問題に変換して解く手法としてDirect Encodingが知られていた.本研究で考案したOrder Encodingは,Direct Encodingよりも自然数の順序関係を自然に表現しているため,より高速にSATソルバーでの求解が可能である.また,本手法の提案と実験結果の報告を国際会議CP 2006で行った. ○Order Encodingに基づいたCSP/COPソルバーの開発: 上記Order Encodingに基づいたソルバーCSP2SATおよびSugarを開発し,ソフトゥェアを公開したhttp://bach.istc.kobe-u.ac.jp/csp2sat/. ○オープンショップ・スケジューリング問題への応用: 上記手法を,求解が困難な最適化問題として知られているオープンショップ・スケジューリングのベンチマーク問題192問について適用した所,ILOG等の商用の高速なソルバでも未解決で残されていた3問についても最適解を求めることができた。 ○グリッド計算環境上での実験: これらの未解決問題を1台の計算機で実行した場合,1週間程度の時問が必要となるが,10台の計算エージェントからなるグリッド計算環境で協調的に並列実行した場合,13時間程度で求解でき,並列計算による効果が大きいことが確認できた。
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