研究課題/領域番号 |
17500102
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
菅原 俊治 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 主幹研究員 (70396133)
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研究分担者 |
横尾 真 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 教授 (20380678)
松原 繁夫 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (80396118)
岩崎 敦 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 助手 (30380679)
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キーワード | オークション / マルチエージェント / 負荷分散 / フェアネス / 資源割当て / 資源選択 / 経路探索 / ネットワーク |
研究概要 |
本研究では、ネットワークリソースを市場原理(オークション)に基づいて公平かつ効率的に割り当てるプロトコルを、その実装に向けて評価することを目的とする。特に今年度は、具体的なプロトコルの設計に取り組んだ。 P2Pや分散センサネットワークなどにおけるデータ転送では、個々の端末(ノード)はその所有者や規格が異なることが起こりうるため、各ノードにデータを適切に転送するための誘因(報酬)を考慮する必要がある。このような報酬の決定にはしばしばオークションプロトコルが用いられる。しかし、従来のプロトコルでは、あるノードが架空のノードを用いたり、他ノードと共謀することで、不正に報酬を増加しうる。この場合、理論的にもっとも優れているVickrey-Clarke-Grovesプロトコル(VCG)でも、不正行為は防げない。 そこで、選択されうる経路を所有しているエージェントの数に応じたペナルティをVCGに適用し、Reserve-Costプロトコル(RC)を提案し、このプロトコルが架空名義を用いた操作の影響を受けないことを理論的に明らかにした。さらに計算機上に再現した小世界ネットワークに対して、提案プロトコルを評価し、VCGに対して約60〜80%の効率性を達成することを示した。これに関連して、架空の名義を用いた不正行為に頑健なオークションプロトコルや協力ゲームの解概念に関する研究を学術論文および国際会議にて発表した。 またネットワークの資源割当てのように非常にたくさんの要求が同時に起こり、かつ多くの地点から独立に処理をする必要がある場合において、このような資源割り当てプロトコルで見られる現象の解析も行った。それぞれが合理的に判断をすると全体の効率が落ちる現象があり、このために揺らぎや学習を導入することが一定の効果を上げることを示した。
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