1.本年度は、環境変動に強い状況把握アルゴリズムに関する研究の一環として、雪や霧などの視界不良時において撮影された画像から、歩行者や車両などの移動体を検出する新しいアルゴリズムを考案した。降雪時や霧が濃い場合、視界は短時間で大きく変動する。また、吹雪など降雪量が多い場合には、各画素の輝度値がフレーム毎に激しく変化し、画素単位で輝度の変化を比較する手法では誤検出が多発する。これらの問題点を解決するため、画像を一定サイズの格子ブロックに分け、各ブロック内で蓄積フレーム数が異なる2つの輝度ヒストグラムを求め、その間の相関を算出することで移動体を検出するアルゴリズムを考案し、雪が激しく降っているシーンにおける実験で有効性を確認した。また、本研究内容を、国際会議(ICPR'06)と国内会議(MIRU'06)へそれぞれ投稿した。 2.さらに、「平面投影に基づくステレオ視」において発生する隠蔽領域を除去する新しいアルゴリズムを考案した。「平面投影に基づくステレオ視」は、移動体によって生じる影の領域が除去できる有効な手法であるが、対象物の領域と同時に一方の画像において対象物により隠蔽されている平面上の領域が検出されるという問題点を抱えている。カメラ間の距離が短い場合、平面上に検出される隠蔽領域は小さいが、カメラ間距離が大きくなると隠蔽領域は対象物以上の面積を持つようになり、対象物の存在位置を正しく求めることが困難になる。この問題を解決するため、平面投影に基づくステレオ視により検出された領域の輪郭と、原画像中のエッジを比較することにより、対象物領域と平面上の隠蔽領域を分離するアルゴリズムを新たに考案し、日照が変動するシーンにおける実験で有効性を確認した。また、本研究内容を、国内学会(PRMU研究会)で発表した。
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