本研究では固有残差画像を解析することにより顔の個人特徴を表現する手法を提案する。 従来の固有空間法では、直交基底パターンの線形結合である固有射影により顔の個人特徴を表現していた。この手法は、照明や姿勢などの微小な変化、すなわち個人内変動による影響を棄却できる半面、個人特有な特徴を十分に表現し難いという問題がある。 そこで、本論文では元画像と固有射影との残差である固有残差に、個人特有な特徴と個人内変動の2成分が含まれると考える。提案手法では、固有残差画像のテクスチャ解析により個人特徴として有意な成分を強調し、個人内変動の成分を抑制する。 公開データベース上での認識実験により、固有残差は従来手法の固有射影に匹敵するほどの個人特徴の情報を含んでおり、提案手法が顔の個人特徴を表現する上で有効であることを確認した。また、本研究の派生研究として、顔画像に含まれる個人性を除去しつつ、他の顔との類似性を維持する手法を提案し、顔画像データベースにおけるプライバシー保護技術として提案した。
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