本研究では「準動的物体のモデル化を含む環境地図生成と、移動ロボットタスクへの利用」の課題に取り組む。今年度(平成17年度)は、準動的物体に無線ICタグを貼り付け、一定期間、それらの位置・姿勢の変化の履歴を蓄積することにより準動的物体の存在を作業環境地図に記述するプロトタイプシステムの構成に着手した。具体的には以下の課題に取り組んだ: (1)無線ICタグの検出性能評価 本研究に用いる無線ICタグとしてはUHF帯・パッシブ型の利用を検討していたが、この帯域の電波利用の規格が2005年に制定されたこと、また、この規格のICタグ(およびReader/Writer)の販売開始が遅れたことから、今年度は、まず、従来型の2.45GHz帯のICタグおよびReader/Writer(Alien社製)を用いたプロトタイプシステムを構成し、アンテナからの距離、アンテナに対するタグの向き、等の測定条件の変化に伴う無線ICタグの検出性能について評価を行った。 (2)移動ロボットシステムのハードウエア・プラットフォームの構成 無線ICタグReader/Writerを搭載した移動ロボットが作業環境内で一定の(長期)期間に走行することにより、ICタグの情報とICタグが存在する位置・姿勢情報を収集し、地図情報として蓄積する必要がある。今年度は、本研究で用いる移動ロボットのハードウエア・プラットフォームの整備を行った。移動ロボットのベースにはActivMedia社製のPioneer3を利用し、ICタグReader/Writerとの通信にはシリアルポート(RS-232C)を用いる. (3)無線ICタグを用いて準動的環境地図を生成・利用するソフトウェアの開発 移動ロボットから2.45GHz帯の無線ICタグへの情報の書き込みおよび読み取りためのソフトウエアを整備した。
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