人間から観測される不確実性のある多種多様な情報からの意図・状況理解および人間がストレスを感じない自然なコミュニケーション制御方式を明らかにするため、17年度は、以下のように、コミュニケーションモデル生成の体系化を進めるとともに、実証実験のためのコミュニケーションロボットの構成要素を明らかにし、試作を行った。同時に、意図・状況理解のためのセンシング方式に関する検討も行った。 1.コミュニケーションモデル生成の体系化に関する検討 人間・ロボット間の状況に対応するコミュニケーション相互作用モデルとして、インタラクションスキーマを定義し、それに基づいた階層的な確率的状態遷移モデルを提案した。具体的には、複数の状況依存モジュール郡から構成され、再利用可能な粒度をもつ「インタラクションモデル階層」、複数のインタラクションモジュール群から構成される「行動モデル階層」とし、再利用化と確率推論計算コストの低減化を図った。行動モデルとして、巡回動作、気づき、コミュニケーション距離の調整といった複数のインタラクションモジュールから構成される巡回型タスクモデルをとりあげて定式化を行い、その結果について大会論文発表を行った。 2.コミュニケーションロボットの構成要素の明確化とその試作 「説明する」「教える」「気付かせる」「指し示す」などの基本的なコミュニケーション機能を実現するために必要な構成要素を明確化し、実装を行った。現在、巡回タスクモデルが評価できるところまで、実装が進んでいる。本ロボットは3月の展示会に出展した。 3.意図・状況理解のためのセンシング方式 ステレオカメラから検出されたユーザの軌跡に、アクティブ型RFIDのユーザIDを対応させる同定・位置検方式の評価を進め、大会論文発表を行った。
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