研究概要 |
コミュニケーションを促進する制御方式において非言語情報の役割とグループコミュニケーションにおける振る舞いのモデルについて検討を進めた.具体的には,非言語情報として,呼吸と頷き・相槌などに着目し,コミュニケーション分析を行い,センシング方式とともにコミュニケーションを活性化する相互引き込み方式の提案・検証を行った.コミュニケーション実験の結果,以下のことが判明した. (1)会話中には聞き手だけでなく、話し手も頷きを行っている. (2)頷きのタイミングが会話の区切りや話し手の呼吸のタイミングと相関がある。 (3)話し手が文末に行う頷きには聞き手も同期して頷きを行っている. (4)呼吸や句読点に合わせた頷きが多いが、それらと関係のない頷きも多く見られる. この知見に基づき,相互引き込み制御のためのコミュニケーションモデルを提案した.具体的には,相互引き込みには,発話長による頷きを行い対話全体のリズムを刻む大局的な引き込みと,語尾のピッチにより頷きの速度や頷きの深さを変化させ単文の引き込みを行う局所的な引き込みがあり,この2重構造によりコミュニケーションを促進していると考えられる.局所的な頷きのタイミング決定には決定木を適用し,大局的な頷きのタイミング決定にはエネルギー飽和の考え方を導入し実装した. 以上のコミュニケーションモデルを病院の待合室でのコミュニケーションロボットに実装し,大学生の被験者による予備実験および実際の患者を通してのコミュニケーション実験により,有効性を検証した.
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