研究概要 |
(1)まず狭帯域液晶チューナブルフィルタを較正し,これと冷却機能付CCDカメラ,パソコンを用いてスペルトル・ビジョンシステムの基本部を構築した.分光画像の帯域は半値幅で約20nmである.可視域[400-700nm]の任意の波長で連続して画像獲得するシステムを開発した. (2)次にカラーフィルタと干渉フィルタを用いたマルチバンド・ビジョンシステムを構築した.カラーフィルタとモノクロカメラのシステムは6バンドで,半値幅は約50nmである.干渉フィルタとモノクロカメラのシステムは8バンドで,半値幅20nmである.後者についてはパソコンからフィルタホイールを回転制御しつつ,分光画像を獲得するシステムを開発した.計測精度の向上について現在検討している. (3)マルチチャンネル画像データから照明光の分光分布と物体表面の分光反射率を高精度で推定するアルゴリズムを開発した.とくに蛍光灯のようにスパイクを含む複雑な分光分布をもつ照明環境を想定して,照明光源の分類と環境光の分光分布の推定法を検討した.これにはスペルトル・ビジョンシステムを用い,選択波長帯と分光情報の推定精度の関係を調べた.最も効率的なセンサ数は69チャンネルで,それらの波長帯を決定した. (4)応用問題としては,物体の識別と絵画のディジタルアーカイブを検討した.前者では,まずスペルトル色を用いた物体識別法を提案し,次にプリント回路基板上の材質の識別法を開発した.絵画のディジタルアーカイブは油彩画を対象とし,分光反射率のみならず,面法線や反射モデルを推定した.実験結果でカラーイメージングと比較して,マルチバンドイメージングの優位性を示した.
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