研究概要 |
平成20年度は,前年度の研究で得られた感情制御技術の高性能化を中心に研究を行った。まず,話者から与えられる発話音声や表情・ジェスチャから抽出した感情要素の情報を基に話者の感情を推定する「感情認識部」については,話者から与えられた発話音声の韻律特徴を用いたベイジアンネットワーク感情推定モデルにおける感情推定の高度アルゴリズムを考案した。ベイジアンネットワークが各感情毎に推定確率値を出力できることに着目し,多段階に感情推定を行うことで推定正答率を改善することに成功した。つづいて,自らの内部モデルによって感情が生起し話者からのコミュニケーションに反応して変化する「感情遷移部」については,昨年度に考案した会話過程に出現する語の高感度に基づいた感情生起のモデルへの付加機能として,ユーザが希望する性格にロボットの性格付けが正しく付与できるように,感情生起モデルの性格設定パラメータと会話ユーザが受ける印象との相関を因子分析により分析した。結果,提案した感情生起モデルがロボットの性格において「穏-厳因子」「悲観-楽天因子」「感情-理性因子」の性格付け度合いを調節できることが確認された。 これらの研究結果は,研究代表者らが参画している産学共同プロジェクトにおいて過去に共同開発された感性会話型ロボットifbot上に試作実装され,会話実験等を行うことでその効果が検証されている。また,これらの研究成果は7編の雑誌論文と4編の国際会議論文ならびに7編の国内学会発表論文として発表されている。
|