1)H17年度の成果を引きつぎ、塩基列を6個まで(2コドン読み)を単位として読み、SOMにかけ生物種のパターン分けを行ったが、コドン読みと特に変わるところはなかった。従って現在までの検討結果では、塩基読みまたはコドン読みでよいといえる。 また、1/fゆらぎに関しては、データ長(塩基列の長さ)25-279bpの部分列に対し、転写開始点から上流側に行くに従いどれだけα値が変わるかを調べた。上流側700-800塩基あたりと、転写開始点付近で変化が大きいことが分かり、これは統計的解析結果Gスコアなどと一致する。 2)H18年度新たに行ったのは、情報エントロピーを尺度とする解析である。H17年度と同じ10種の生物種のエントロピーを求め、進化系統樹と比べた。現状では、エントロピーだけで進化の樹は作れないが、既存の樹の解釈の補助になるようである。 ところで情報エントロピーは本来、アンサンブル平均にわたり定義されるマクロな量であるが、本研究では塩基配列を適当な長さで切り出し、その部分列に対し情報エントロピーを定義する方法を考案した。この情報エントロピーは位置依存である。細胞性粘菌では、転写開始点の上流側700-800塩基での変動が大きいという他の手法と同様の結果得られたが、とくに4ステージ共通に転写開始点直前で大きく落ち込むことが分かった。この結果から、位置情報エントロピー(仮称)は、転写開始点判定に有用と思われる。 成果発表は、主にH17年度までの内容でだしており、合計6件ある。情報エントロピーについては9月の国際会議で報告の予定であるが、まだ採否は決まっていないので、リストには入れていない。
|