研究概要 |
本研究においては以下の3つの目標を挙げている: ・変わる環境において、実時間で与えられるデータを基に、システムの性能を安定的に向上させ、効果的且つ効率的学習アルゴリズムを提案したい。 ・NNTreeの構造を生かし、学習で得られた知識を、人間にも理解しやすい形で提供したい。 ・以上の意味での学習と理解を同時に行う方法を提案したい。 今年度は、以下のことについて検討し、ある程度成果を収めた: (1)NNTreeの実時間学習(Neural, Parallel and Scientific Computations, Vol.13, No.3-4, pp.287-296,2005);(2)NNTreeを高速に構築する手法(Proc.IEEE International Conference on SMC, pp.822-826, Hawaii,2005);(3)理解可能な多変量決定木の構築手法(Proc.IEEE International Conference on SMC, pp.3593-3598, Hawaii,2005);(4)SMV-Treeの性能評価:会津大学卒業研究. 以上の研究でわかったことは次の通りである。(1)NNTreeを利用して実時間で学習することは可能であるが、安定的且つ効率的に学習するためにはさらなる研究が必要である。(2)中間ノードには、通常の階層型ニューラルネット(MLP)を利用すると、学習はできるが、学習結果を実時間で解釈することは難しい。MLPの代わりに、最近傍識別器(NNC)を利用することを提案した。実際、NNC-Treeは、通常の決定木より遥かに小さく、対応するIf-Thenルールがわかりやすいなどの特長がある。また、学習ベクトル量子化(LVQ)を利用すれば、NNCの実時間学習もできるので、NNC-Treeは学習と理解が同時にできるのではないかと考えられる。3)サポートベクトルマシン(SVM)をツリー構造にすると、従来one-against-oneという手法がある。これで構築したSVM-Treeは、NNTreeよりも性能がよい。しかし、SVM-Treeの規模が大きく、NNTreeよりも解釈しにくい欠点がある。次年度では、NNC-Treeの実時間学習について重点的に検討したい。
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