群れ行動シミュレーションアルゴリズムに基づいたインタラクティブアート作品「群れオーケストラ」に実時間分散進化計算法の適用を試み、複数種類のシステムを構築し実験をおこなった。しかし、適切な適応度の設計が困難であることが確認されたため、方針を変更して、群れエージェントを複数の種に分割し、複雑な演奏パターンを生成するシステムを構築した。群れ行動を制御するパラメータを種毎に調整し、また、異種エージェントを移動障害物と見なすことで、より複雑な群れ行動が生成され、生成される音楽にもある程度の厚みをもたせることに成功した。オープンキャンパスおよび大学祭にて作品の展示を行い、一般来場者の反応を観察するとともにアンケート調査をおこなって、面白さやシステムの反応の適切性を調査した。その結果、面白さについては幅広い年齢層にわたって好評であることが確認された。この成果は1回の国内シンポジウムと2回の生成的システムに関する国際会議にて発表した。また、そのうち1回の国際会議では、研究協力者であるDaniel Bisig博士の協力のもと、プロジェクタとスクリーンを用いた展示を行い、参加者に体験してもらった。作成したソフトウェアはフリーウェアとしてインターネットおよびCD-ROMの形式で一般に配付した。2月下旬から3月上旬にかけて研究協力者を招聘し、研究打ち合わせを行うとともに国内の関連研究者および著名作家を訪問し当該プロジェクトについてのアドバイスを頂戴した。
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