研究課題
本研究は、推論の言語的表現である「条件文」の理解過程を、心理実験により検証し、得られた性質を言語学の面から理論化することで、日常的な推論がどのような形で行われているのか、論理と日常推論の関係はどのようなものかを探求することを目的としている。平成19年度は以下の研究を行った。○モダリティと真理値の関係○文理解における関連性の影響○認識論と関連性理論の関係モダリティについては、認識的必然性と義務的必然性、論理的必然性の違いを、日本語の言語表現と計算論的関連性理論の観点から分析し、その共通点と相違点を明らかにすることができた。文理解に関しては、袋小路文を用い、関連性の高い単語が続く文においては、文解析の失敗が関連性の程度に応じて減少することを確かめた。また、関連性理論と認識論との関係に関しては、静的な心的状態においては、「未知」と「無知」 「偶然」を区別することはできないが、情報を獲得するという動的過程において、いわゆる「無知」といわれるものと、何か知識を持っているが、その知識が不確かであるという状態とを明確に区別できることを示した。本分析の特徴は、今まで哲学的には考察されてきたことを、数学的・形式的にも証明できることを示した点にある。このアプローチをさらに発展させれば、認識論における「ゲティア問題」やドレツキの提議した矛盾に関しても、一定の回答を与えることができる。
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