平成17年度は以下の研究実績を得た。 1)因果ダイアグラムに関する識別可能性に関する研究 因果ダイアグラムを識別するための外的操作の効率的適用基準について研究し、因果ダイアグラムを復元させるのに十分な外的操作変数集合の選択基準、および因果ダイアグラムを復元させるのに十分な外的操作の最小回数を与えることができた。 2)従属な競合リスクでの識別可能条件に関する研究 従属な競合リスクモデルとして、複数の従属なリスクが共変量を与えたもとで条件付き独立というモデルを想定する。この条件付き独立性が成り立つには、個体の年齢、性別、病歴、生活習慣など多くの共変量が必要となり、それらを組み合わせた層別は現実的でない。本研究では、高次元の共変量を低次元に縮約できるための識別可能性条件を与えた。 3)独立成分分析による変化点検出の識別可能性の研究 独立成分分析によって結果系品質特性データから原因系変数の変化点を検出する問題を扱い、そこでの識別可能性を主に実験的に考察した。 4)有限混合分布モデルの識別可能条件に関する研究 有限混合分布を識別可能とするために母数空間に制約を設けるアプローチにおいて、この制約値をクロスバリデーションによって推定する方法を提案し、その挙動を調べた。
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