研究概要 |
研究目的に掲げていたテーマのうち,(1)多重比較法関連,(2)タグチ・マハラノビス・システム(MTS)関連,(3)グラフィカルモデリング関連について主に取り組んだ.以下にその概要を示す. まず,(1)については,母平均に関する最大対比法の性能評価を多重比較法の観点およびモデル選択の観点から研究した.第1種の過誤の確率および検出力について調べた.また,Max t法を含めて最大無影響量の推定の性能評価を研究した.この際,生産者危険と消費者危険を定義して,各手法の性能を比較した. 次に,(2)については,MTSの多重共線対策として,すでに宮川・永田論文で示した結果を深める方向で検討を開始した.この問題はリッジ回帰とも関連する.また,サンプル数が少ない場合の現実的な対処法の開発とその性能評価を検討している.さらに,判別分析やニューラルネットワークとの比較を行い,MTSの特徴を調べる研究を行っている.そして,MTSの提案者である田口玄一が提唱しているパラメータ設計に関連して,機能窓法の推測におけるサンプルサイズの影響についても研究した.ノンパラメトリック法として知られている方法と確率分布(特に,ロジスティック分布)を想定したパラメトリック法との比較を行い,サンプルサイズによる違いによる影響度を検討している. (3)については,因果ダイアグラムにおいてどの共変量を選択するのかについて,その推定精度への影響を検討した.バックドア規準を満たす場合だけでなく,その他の場合についても検討を広げ,影響の程度を理論的・数値的に検討した.
|