研究課題
DNA計算は、ワトソンクリックの相補性を利用して、意図的に微細構造を形成することにより計算を行う新しい計算パラダイムである。本研究では、このような意図した通りに構造形成をする配列を設計するための効率の良い解析アルゴリズムの開発と、配列設計を行うためのシステム開発を目的として研究を進めた。特に、本年度は、前年度に得られた大きな成果である、組み合わせ爆発を内包する会合反応系の平衡状態計算のための理論の拡張と、ハイブリッド型配列設計システムの実装を行った。第一の成果は、会合反応系の平衡状態を計算する問題において、前年度得られたグラフ理論と最適化理論を用いた解決法をさらに拡張し、ハイパーグラフ理論と最適化理論を用いることにより、理論の適用可能性を大きく広げた。その結果、木構造状の分子複合体が生成されるような会合反応系ならば、凸計画法を用いて効率よく平衡状態を計算できることがわかった。これは、核酸配列が会合する反応系でも、構造のクラスを限定すれば平衡状態解析が行えることを意味しており、非常に大きな成果である。第二の成果は、前年度までに得られた配列集合評価アルゴリズムに関する成果とこれまで研究代表者が提案してきたテンプレート法という配列設計手法を統合して、ハイブリッド型の配列設計システムを構築したことである。特に、2つの設計手法の間に、中間の設計レベルを設けることにより、システムの高速化を実現した。これにより、さまざまな設計制約を満たす配列集合を効率よく設計することが可能となった。
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Technical Report of Dept. of Computer Science, Univ. of Electro Communications CS08-01
ページ: 29
Proc. of Workshop on Computing and Communications from Biological Systems: Theory and Applications (CD-ROM)
ページ: 論文番号paper2376