研究課題
基盤研究(C)
本研究計画の目的の一つは、4.7T超高磁場MRI装置を用いた高解像度撮像により、マカクサル慢性単一神経細胞記録において、電極先端位置が大脳皮質の第何層に局在するかを同定する技術を開発することである。通常用いられるタングステン電極先端は、数十μm程度の微細なものであるため、例えば空間解像度100μmの高分解能MRI画像上においても、電極先端がMRI画像の1ボクセルの体積に占める割合は、わずか数パーセントに過ぎない。この場合、partial volume effectによって、電極先端位置をMRI画像上に正確に同定することは困難であると考えられた。この問題を解決するため、MRI撮像の条件検討を行った。その結果、電極の軸方向を、MRI装置の磁場に対してある特定の方向に設置することによって、電極先端におけるpartial volume effectが低減され、MRIを用いて電極先端の正確な位置同定が可能となることを初めて明らかにした。次にこの撮像条件の有効性を、in vivo実験において実証した。3頭のマカクサルの上側頭溝の大脳皮質にタングステン電極を刺入し、麻酔下でMRI撮像を行った。電極先端の大脳皮質内位置が空間解像度150μmにて同定された。同時に電極先端位置において、微小電流によるlesion markingを行い、実験終了後、電極先端の位置を組織切片上に同定した。MRIによって同定された電極先端の大脳皮質内位置と、組織学的に同定されたそれとを比較した結果、MRIによって同定された電極先端位置は、MRI画像上の最小誤差単位であると考えられる、誤差1ボクセル以内の正確性を持つことが統計的な有意性をもって示された。以上の実験によって、4.7T MRIによってマカクサル大脳皮質内の微小電極先端位置を誤差1ボクセル以内で同定する手法が確立されたので、これを論文として、現在投稿中である。
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2005 Abstract Viewer and Itinerary Planner. Washington, DC : Society for Neuroscience Abstract, 2005. (CD-ROM)
ページ: 456.10-456.10