1.CNRタンパク質の細胞内局在を制御する定常領域ドメインの同定:これまでの研究で、CNRファミリーの定常領域のsplice variantsにはA型とB型の2種類が存在し、A型定常領域には細胞膜への移行を妨げる領域があることが示唆されていた。本年度は、A型定常領域のカルボキシル末端を段階的に短くしたCNRファミリータンパク質をCOS7細胞に強制発現させ、膜移行を妨げる領域の探索を行った。その結果、リジンに富む23残基からなるlysine-richモチーフが存在すると細胞膜へ移行しなくなることが明らかとなった。 2.CNRファミリーの定常領域と相互作用する分子の探索:1.の研究でlysine-richモチーフが細胞内局在を調節する機能ドメインであることが示唆されたので、COS7細胞にlysine-richモチーフあり、なしの2種類の変異CNRv4タンパク質を発現させ、いずれにも結合する抗CNRv4抗体により免疫沈降法を行い、lysine-richモチーフと相互作用する分子を共沈させ、同定することを試みている。現在までのところ、結合分子のはっきりとした共沈がみられていないが、用いる抗体、抗体の固相化条件、膜タンパク質の可溶化条件などの最適化を行っている。 3.CNRファミリー定常領域遺伝子改変マウスの表現型解析:CNR-A型定常領域のカルボキシル末端約50アミノ酸を欠いた遺伝子改変マウスおよびCNR定常領域エクソンすべてを欠損させた遺伝子改変マウスを用いて、CNRファミリーを強く発現するセロトニン神経系について解析を進めた。CNR-A型定常領域遺伝子改変マウスでは海馬においてセロトニン含有量の上昇が認められるが、セロトニントランスポータおよびセロトニンに対する抗体を用いて検討したところ、多孔分子層の部分でセロトニン線維投射密度が上昇していることが明らかになった。
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