CNR蛋白質の細胞内局在を制御する定常領域ドメインの決定:これまでにCNR4蛋白質ではカルボキシル(C)末端領域にあるリジンに富むlysine-richドメインが株化細胞中で細胞膜への移行を妨げるドメインとして同定されていた。本年度はCNR7でもCNR4と同様にdeletion mutantを用いた実験を行い、CNR7においてもlysine-richドメインが細胞膜移行を妨げることを示した。 神経細胞内局在におけるlysine-richドメインの機能:アミノ末端にmycタグを付加したCNR4-A型、-B型およびlysine-richドメインを欠損させたA型蛋白質を子宮内エレクトロポーレーション法により海馬CA1錐体細胞に発現させ、生後、myc抗体によりその局在を観察した。A型定常領域をもつCNR4蛋白質は細胞体に集積する一方で、B型やlysine-richドメインを欠損したCNR4蛋白質は樹状突起や軸索に広がって分布していた。この局在の違いを定量化するために、apical dendriteにおける発現蛋白質の局在で最も細胞体から遠い部分までの距離を測定した。その結果、lysine-richドメインを持たないCNR4-B型やlysine-richドメインを欠損させたCNR4-A型蛋白質は有意に遠方の樹状突起にまで分布することが示され、lysine-richドメインがCNR蛋白質の神経細胞内局在に重要なドメインであることが示された。 CNR定常領域欠損マウスの表現型解析:定常領域エクソン全てを欠損させたCNR遺伝子改変マウスおよびlysine-richドメインを含むA型定常領域C末端部を欠損したCNR蛋白質を発現する遺伝子改変マウスでは、CNRを強発現する嗅神経の糸球体への収束投射に異常がみられ、神経回路形成における標的選択性にCNRファミリーが重要であることを報告した。
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