研究課題/領域番号 |
17500215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
濱田 知宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (90312058)
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研究分担者 |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
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キーワード | エストロジェン / エストロジェン受容体 / 遺伝子プロモーター / トランスジェニック / 電気生理 / 膜電位依存性チャネル / 性的二型核 |
研究概要 |
我々はこれまでにα型エストロジェン受容体遺伝子プロモーター0/B活性依存的にEGFPを発現するトランスジェニックラットの作出に成功し、エストロジェン応答神経細胞の可視化を現実のものとした。17年度ではこれらEGFPで可視化された細胞の膜電位依存性チャネルに対するエストロジェンの作用を、電気生理学的手法を用いて検討した。すなわちトランスジェニックラット海馬及び視索前野の初代培養を実施し、EGFP発現細胞を対象にパッチクランプ法により、静止膜電位形成や発火頻度調節に重要な役割をしている電位依存性カリウム電流に対するエストロジェンの急性及び慢性効果について調べた。エストロジェンの高濃度(μMレベル)急性暴露ではカリウム電流の抑制が観察された。生理学的濃度の2日間暴露では培養日数に応じて正反対の作用が観察された。すなわち培養10日目の海馬由来細胞ではカリウム電流の促進が観察され、培養13日では抑制作用が見られた。また2日間慢性投与された細胞に対するエストロジェンの急性暴露は、生理学的濃度でカリウム電流の促進が観察された。今後の詳細な検討が必要ではあるが、少なくともエストロジェンはカリウム電流を変化させることで神経細胞の活動に影響を与えていることが示唆された。 一方でこのトランスジェニックラットは視床下部性的二型核特異的にEGFP発現が観察され、EGFP発現にも性差が存在することが明らかになった。この性差は周生期のエストロジェンが重要な役割をしていることが示唆されており、本研究の結果は複数存在するα型エストロジェン受容体遺伝子プロモーターの中で0/Bがこの性差発現に関与していることを示す結果として意義がある。それ以上にEGFP発現を性的二型核のマーカーとして活用することで、これまで良くわかっていなかったこの神経核ニューロンの性質、投射及び機能について画期的な研究進展が期待される。
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