研究概要 |
(1)諸倫理規定に従い学内倫理委員会の許可を受け、患者から同意文書を得て本学眼科の協力により採取したヒトの網膜二次ニューロンである双極細胞について、各種イオンチャネルや受容体の神経生理学研究および遺伝子解析を行った。パッチクランプ法とsingle-cell RTPCR法により、ヒト双極細胞においてもヒト視細胞(Neuron(2001))と同様に電位依存性ナトリウムチャネルが存在することを明らかにし、Na_v1.2電位依存性ナトリウムチャネルの電気的特牲と局在についてさらに詳細に解析を行った(Photochemistry and Photobiology, in press,等)。 (2)また、ネコ視神経切断後の網膜ニューロンの電位依存性および受容体チャネルのサバイバルと再生過程についてパッチクランプ法とカルシウム・イメージング法を用いて研究を行い、視神経切断後の網膜神経節細胞におけるアセチルコリン応答および電位依存性ナトリウム電流の変化を観察した。再生過程におけるアセチルコリン受容体発現の変動のカルシウム・イメージング法解析により、アセチルコリン受容体の発現が視神経再生のマーカー(指標)として有用であることが示唆された(Society for Neuroscience Abstract,2006)。 (3)さらに、スナネズミを用いた脳虚血後の神経保護・サバイバルの神経化学的実験から、女性ホルモンやリコピンがニューロンの傷害保護・再生作用を有することを明らかにした(Neurochemical Reseach,2006等)。また、スナネズミ網膜を用いた免疫組織学的実験から、視神経の細胞体である網膜神経節細胞・細胞体においてヒスタミン受容体が網膜発生の様々な段階で変動することが示唆されたので、今後は網膜ニューロンの発生・再生過程におけるヒスタミンについて研究を進めていく予定である。
|