研究課題
Ca^<2+>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)は、中枢神経系に豊富に存在し、様々な蛋白質をリン酸化することにより、その蛋白質の機能を修飾するプロテインキナーゼとして、神経活動の制御やシナプス可塑性に深く関わり、学習・記憶を始めとする高次脳機能にも重要な働きをすると考えられている。本申請者は、CaMKIIα(前脳におけるCaMKIIの主要なサブユニット)の持つ3つの機能、(1)他の蛋白質をリン酸化するプロテインキナーゼとしての機能、(2)Ca^<2+>結合蛋白であるカルモジュリンを結合する機能、(3)CaMKIIサブユニット同士が結合して、あるいは他の蛋白質と結合して構造蛋白として働く機能、のうち(1)のプロテインキナーゼ活性のみを欠損させた特異性の高い「機能的ノックアウトマウス」をノックインの手法を用いて作成した。このマウス脳の解析を行ったところ、CaMKIIαのプロテインキナーゼ活性のみが選択的に消失するが、蛋白としての発現は維持されており、シナプス可塑性との関連が示唆されるmRNAの樹状突起への局在も保たれていた。このマウスの出生率は正常で、繁殖能力にも問題がなかったが、生後10〜20週での死亡率が高く、また、一部のマウスに自然発症のけいれんが認められたことから、神経活動の調節に異常を来している可能性が考えられた。この点についてさらに詳細な解析を行うと共に、電気生理学的手法によるシナプス可塑性の異常の有無、また、行動解析による行動異常の有無について、現在検討を行いつつある。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
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