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2006 年度 実績報告書

結節性硬化症の脳病変形成に関する実験病理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17500222
研究機関東京大学

研究代表者

水口 雅  東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (20209753)

研究分担者 樋野 興夫  順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
伊藤 雅之  国立精神神経センター, 神経研究所, 室長 (50243407)
キーワード結節性硬化症 / 細胞内情報伝達 / Westernブロッティング / 皮質結節 / 腫瘍 / 過誤組織
研究概要

結節性硬化症(TSC)の原因遺伝子TSC2の蛋白産物tuberinの上流にはinsulin/PI3K/Akt、下流にはRheb/mTOR/p70S6K/S6がある。従来の研究により、ヒトTSCの病変(腫瘍、過誤組織)ではtuberin機能低下のためmTOR経路が異常に活性化し、S6リン酸化が亢進することが示された。このうち腫瘍はtwo hitメカニズムにより生じ、PI3K/Akt経路の活性はfeedback機構により低下する可能性が指摘されている。いっぽう、脳の皮質結節(過誤組織)ではsecond hitは無く、PI3K/Akt経路の活性化によりtuberinのリン酸化を介した恒常的不活化が生じるとの仮説が提唱されている。本研究では昨年度、ラットTsc2機能喪失変異に起因するTSCモデル動物Ekerラットを用いて、in vivoでこれらの仮説があてはまるかどうかを免疫組織化学的に検証した。その結果、脳・腎の悪性腫瘍においてはAktリン酸化の亢進は無く、mTOR、p70S6Kのリン酸化亢進が一部の腫瘍細胞で認められた。脳の過誤組織(皮質結節)ではAktリン酸化は正常神経細胞と同等、mTOR、p70S6Kのリン酸化は全く認められず、一部の反応性グリア細胞が強いAkt、p70S6Kのリン酸化を示した所見と対照的であった。また、これらの全ての病変でS6リン酸化は著明に亢進していた。本年度はEkerラットの脳、腎におけるこれら因子の発現・リン酸化をWesternブロッティングにより検討した。その結果、Ekerラットの非癌部腎皮質と大脳ではAkt、tuberin、mTOR、p70S6K、S6の発現・リン酸化の変動は認められなかった。Ekerラット腎癌ではAktリン酸化低下、tuberin発現低下、mTOR発現上昇、S6リン酸化上昇が見られたが、p70S6Kリン酸化は増えていなかった。以上の結果よりtuberin下流から上流へのnegative feedback、およびp70S6K以外の因子によるS6活性化が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Abnormal giant cells in the cerebral lesions of tuberous sclerosis complex.2007

    • 著者名/発表者名
      Mizuguchi M.
    • 雑誌名

      Congenital Anomalies 47(1)

      ページ: 2-8

  • [雑誌論文] 結節性硬化症2006

    • 著者名/発表者名
      水口雅
    • 雑誌名

      小児内科 38(Suppl)

      ページ: 664-665

  • [雑誌論文] A case of Panayiotopoulos syndrome showing am atypical course…2006

    • 著者名/発表者名
      Saitho M, Kubota M, Kimura I, Mizuguchi M, Igarashi T
    • 雑誌名

      Seizure 15(3)

      ページ: 643-648

  • [図書] EBM小児疾患の治療2007-20082007

    • 著者名/発表者名
      五十嵐隆, 石井正浩, 滝田順子, 平岩幹男, 水口雅, 横田俊平, 横谷進, 渡辺とよ子(編)
    • 総ページ数
      708
    • 出版者
      中外医学社

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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