まず、メラノコルチン4受容体(MC4R)のプロモーター支配下に緑色蛍光蛋白質(GFP)を発現するトランスジェニックマウス(MC4R/GFPマウス)を用いて、MC4Rを有するニューロンと扁桃体中心核からの投射線維終末との連絡様式を解析した。MC4R/GFPマウスの扁桃体中心核に順行性標識物質であるジアミノベンチジン(BDA)を注入し、BDA標識軸索を組織化学的に検出後、GFP陽性ニューロン、すなわちMC4Rを有するニューロンを免疫組織化学的に検出した。その結果、視床下部外側野においてBDA標識軸索終末とGFP陽性ニューロンの分布が一致する領域を見出した。そこでは、BDA標識軸索終末がGFP陽性ニューロンに近接して存在する像が数多く認められた。さらに、BDA標識軸索終末がGFP陽性ニューロンの細胞体や樹状突起と非対称性のシナプスを形成していることを確認した。 次に、扁桃体中心核からの投射線維終末とメラニン凝集ホルモン(MCH)やオレキシン(ORX)を産生するニューロンとの連絡様式について解析した。上記と同様に、マウスの扁桃体中心核に順行性標識物質であるBDAを注入し、BDA標識軸索を組織化学的に検出後、MCH陽性ニューロンあるいはORX陽性ニューロンを免疫組織化学的に検出した。その結果、MCH陽性ニューロンとORX陽性ニューロンは視床下部外側野に数多く分布しており、これらの分布領域の大部分に一致してBDA標識線維、すなわち扁桃体中心核からの投射線維が観察された。さらに、BDA標識軸索終末がMCH陽性二ューロンの細胞体や樹状突起と非対称性のシナプスを形成している像をたびたび認めた。しかし、ORX陽性ニューロンとのシナプス形成はまれにしか認められなかった。
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