研究概要 |
平成18年度は、HAP1/stigmoid body(STB)がアンドロゲン受容体(AR)を核移行制御するという興味深いデータが得られ、ラット内側視索前野・視床下部・扁桃体領域HAP1/STBの解析においても、以下の結果を得ている。 1)in vitroでHAP1はstigmoid body(STB)を細胞質で形成し、ARの核移行をLBDを介して吸着結合することで制御することを明らかにした。また、HAP1はARのpolyQ長に依存して結合性を増し、異常伸張polyQ-ARが引き起こすアポトーシスを抑制することを示し、脊髄球筋委縮症SBMAの病態解明と治療に新しい知見をもたらした。これらの結果は、平成18年5月の神経学会で発表し、英文論文を作成し、Human Molecular Geneticsに受理/掲載された。 2)ISH-TEM法とIHC-TEM法によるによるHAP1mRNAとHAP1タンパク質の細胞内局在 HAP1mRNAの細胞内局在は、粗面小胞体と小型のSTBにシグナルが観察された。しかし,大きなSTBではほとんどシグナルは検出できず成長過のSTBで時に周辺部に局在してシグナルが見られるのみであった。HAP1タンパク質の細胞内局在については、主として斑点小体stigmoid body(STB)と近傍の小胞体様管腔構造に見られた。また、形成過程と思われるHAP1陽性小胞体様管腔構造の毛玉状集積像も時に観察された。 3)AODO法を用いた高解像度SEM(HR-SEM)によるSTBの3次元微細構造解析 高解像度HR-SEM観察により、STBが15〜35nm径の線維構造と5〜10nm径の線維構造の毛玉状集積から成る所見が得られている。また、それぞれの線維構造には数個の分子複合体が一定間隔で結合して配列している様子が観察された。 4)IHCとISHによるSTBの構成分子のスクリーニング 既知のSTB関連分子やHAP1-interactorを対象として、hPAX-P2, Sortilin, SorLA/LR11, mGluR1, iGluR1, InsP3R, calnexin, calreticulin, IRE1, PERK, ATF6等のERマーカーやHAP1結合タンパクと目されるDuo/PCIP10(Kalirin), Dynactin P150glued, Hrs, PCM1, InsP3R,α-γ-tublin, neurofilament M, dynin, kinesin heavy chain, kinesin light chainなど細胞骨格系関連タンパク等について現在もスクリーニングが行われている。 5)また、HAP1と性ステロイド受容体と関連の中で脳内アロマテースの制御を解明しISH・IHCとの比較から脳内に2種類以上のAROMが存在することを明らかにし、英文論文を作成し、J.Comp.Neurol.に受理/掲載された。
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