研究概要 |
斑点小体stigmoid bodyは胎盤由来抗原hPAX-P2S抗体によって同定され、視床下部等に豊富に存在することが知られるが、その後、HAP1の遺伝子導入によりSTBを誘導でき、HAP1は主要な構成要素であることがわかったが、hPAX-P2Sとの関係は不明であった。種々の分子生物学的・組織化学的手法とHAP1フラグメントを使った抗体吸収等の方法を駆使して、H19年度の研究で初めて、hPAX-P2S抗体がHAP1AのC末でHAP1B共通領域XP2Sを認識し、hPAX-P2SがHAP1そのものであることを証明した。XP2S領域は、HAP1がSTB形成時には露出され細胞質内分散時には被覆され、STB形成の鍵を握る領域であることが示された。免疫電顕法でHAP1は主としてSTBと近傍の小胞体様管腔構造に見られるが、KDEL配列等小胞体マーカー抗体、Golgi装置、ミトコンドリア、エンドゾームマーカー等の抗体でも検出できず、そのオルガネラ由来は未解決のまま残った。さらにSTB構成分子の免疫組織化学的スクリーニングの結果、in vitroで推察されるSTB関連が推察されるSortilin, SorLA/LR 11, InsP3R, tublin, neurofilament M, Dynactin P150glued, kinesin heavy chain, Duo/PCIP10, dynin, Hrs, NeuroD等のSTB内局在は証明できなかった。なお、アンドロゲン受容体との関連が証明されたHAP1についてエストロゲン受容体との相互関係を細胞内遺伝子導入法により調べた結果、両者に強い親和関係がないことがわかった。また、性ステロイド受容体と関連の中で脳内アロマテースがmRNAレベルでもエストロゲンとアンドロゲンによりup regulationを受けていることを証明した。
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