研究課題
実験研究については、GnRHの受容体に対する特異的な抗体を作成し、GnRH受容体の脳内分布を調べることに集中した。また研究発表については、コイ科魚類の終神経GnRH細胞群への入力源に関するデータを論文にして学術雑誌に投稿し、受理・掲載された。1)実験研究GnRHの受容体は、大きく2つのタイプに分類され、さらにサブタイプも存在する。代表者がこれまでGnRH神経系の研究対象の中心としてきたスズキ型魚類の3つのサブタイプに対する抗体を作成し、免疫組織化学的にその脳内分布を調べた。その結果、3つのGnRH受容体サブタイプ全てについて、免疫陽性ニューロンは視床下部の脳室周囲に存在することがわかった。また、若干反応性は低いものの視蓋前域にも陽性ニューロンが存在するらしい。さらにある特定のサブタイプでは視床下部に免疫陽性の線維が見られた。この結果は、GnRHがこれらの線維に対して作用して、伝達物質放出を制御している可能性を示唆しており、今後注目して検討すべきと考える。来年度は、好適な反応条件を決定して検索個体数を増やし、さらに詳細に受容体の分布を調べる予定である。2)研究発表コイ科魚類では、スズキ型魚類で発達している被蓋-終神経核(感覚情報を終神経GnRH細胞に伝える)は存在しないことが示唆された。その一方で、間脳の糸球体前核群と呼ばれる部位(各種感覚を中継することが代表者らの研究でわかってきている)から、終神経GnRH細胞群に情報が送られることを示唆するデータが得られた。このデータは国際学術雑誌に論文として掲載された。来年度はコイ科魚類以外の魚類でさらに検討を進めたいと考えている。
すべて 2007
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Brain, Behaviror and Evolution 69
ページ: 76-86