研究概要 |
難治性てんかんの焦点部の器質的変化として微小形成不全の存在が指摘されている。多数例の剖検例について微小形成不全と考えられる大脳皮質病変を検証し、3種類の所見(superficial hypermyelination、subpial large neuron、persistent granule cell)の有無をスコア化し、各群における合計、頻度を算出した。その結果、3所見が共存していた例が約半数に上り、このような場合に微小形成不全と診断することが妥当であると強く示唆された。神経細胞系細胞骨格(neurofilament,microtubule,microtubule-associated protein)、グリア細胞系細胞骨格(GFAP、vimentin)、カルシウム結合蛋白含有ニューロン指標(calbindin、parvalbumin,calretinin)、GABA作動ニューロン指標(GAD)およびphos phoryalted tau,ubiquitin,synuclerin、synaptophysin、NMDAR-1、Muscarinic acetylcholine receptor、myelin-associated glycoproteinなどを用いた免疫組織学的検証を併せておこなった。その結果、大脳皮質において、カルシウム結合蛋白で免疫組織学的にラベルされる神経細胞の数の減少を半定量的な解析で認めた。これは同病変におけるニューロンネットワークのバランスの異常を反映したものと推定された。また、オカルト皮質異形成の診断のマーカーとして、抗β-catenin抗体による染色性が有用であることを明らかにした。その他、難治性てんかんの外科治療をうけた脳形成異常の焦点部の病理変化について、症例報告、教科書の出版を行った。
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