研究課題
基盤研究(C)
メラニン凝集ホルモン(melanin-concentrating hormone : MCH)は、そのノックアウトにより摂食量が低下し体重が減少する「ヤセ」表現形を示す唯一の神経ペプチドである。1999年、斎藤らはGタンパク質キメラを活用した新規ストラテジーによりオーファン(孤児)Gタンパク質結合型受容体(GPCR)のひとつであるSLC-1がMCH受容体(MCH1R)そのものであることを同定し、創薬開発への最初の突破口を開いた。当該研究期間において、斎藤はMCH1Rの様々な変異体の作成により構造活性相関を明らかにした。更にその情報を基盤として、MCH1Rの細胞内第2ループに結合する脳由来細胞内因子をGST融合蛋白質とMALDI-TOF-MSを用いることにより3分子同定した。そのうちの1つはセリン/スレオニンキナーゼであり、(1)GST-細胞外N末端、GST-細胞内第3ループ,GST-細胞内C末端にはほとんど結合しないがGST-細胞内第2ループ融合タンパク質に非常に効率よく結合する。(2)細胞膜においてMCH1Rとそのキナーゼの局在が一致する。さらに(3)細胞内においてキナーゼ活性を不活性化させることにより、MCH1Rのインターナリゼーション程度が有意に減少する、という極めて興味深い結果を得た。これはMCH1Rに結合するタンパク質がインターナリゼーションに直接関与する初めての報告である。
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