研究課題
アルツハイマー病の主要原因物質であるべータアミロイド蛋白は、脳組織の細胞外に蓄積し神経細胞の変性を引き起こす。本申請者らは、細胞外に投与したべータアミロイド蛋白が細胞骨格蛋白であるアクチンを凝集させ、その結果、軸索輸送(神経細胞内の物質輸送を担う重要な神経細胞機能)が阻害されることを明らかにした。本研究では、細胞外のべータアミロイド蛋白がどのようにして細胞内のアクチンを凝集させるのかを明らかにすることを目的とした。平成17年度中に、培養ラット海馬神経において、べータアミロイド蛋白が細胞膜を貫通し、細胞内でアクチンに直接結合していることを見出した。このような現象は、べータアミロイド蛋白の各種フラグメントを用いた実験においても観察された。べータアミロイド蛋白及びこれらのフラグメントは細胞内アクチンを凝集させ、軸索輸送を障害させた。これらの実験から活性アミノ酸配列は31-35付近にあると推定された。さらに、人工細胞内環境下in vitroでアクチンとべータアミロイド蛋白をインキュベートし、両者を蛍光染色して観察したところ、アクチンにべータアミロイド蛋白が結合する可能性を示唆するデータが得られた。本年度(平成18年度)では、SDS-PAGEゲル電気泳動等を用いて、アクチンとべータアミロイド蛋白の結合の有無を確認した。以上より、細胞外のべータアミロイド蛋白が直接細胞内アクチンと結合し、その結果、アクチンが凝集し軸索輸送を障害させることが示唆された。本年度は、これらのデータを図表化し、論文作成を開始した。
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Journal of Photochemistry and Photobiology B, Biology 86(1)
ページ: 1-8
Biomedical Research (Tokyo, Japan) 27(3)
ページ: 117-124