研究課題
1.酸化型ガレクチン-1による軸索再生促進の機構解明(1)成熟ラット脊髄後根神経節の分散培養系で、神経細胞ならびにシュワン細胞からガレクチン-1が分泌され、酸化型に変換された後マクロファージに結合することを明らかにした。ラット腹腔マクロファージの培養系に酸化型ガレクチン-1を投与することにより、インターロイキン6(IL-6)や脳由来神経栄養因子(BDNF)のmRNA発現が有意に上昇した(RT-PCR)。これら因子のタンパク発現や培養液中への分泌について、現在検討中である。(2)成熟マウス網膜におけるガレクチン-1の発現分布を免疫組織化学により検討した。網膜神経節細胞ならびにミューラー細胞にガレクチン-1の強い発現がみられた。視神経損傷に伴いガレクチン-1の発現は低下した。(3)成熟マウス・ラット網膜の器官培養系を確立し、糖尿病やライソゾーム病モデル動物における神経突起再生低下を示した。この系を用いて酸化型ガレクチン-1の神経突起伸長作用を検討したが、単独では効果がみられなかった。これに対し酸化型ガレクチン-1で刺激したマクロファージの培養上清を投与すると、再生神経突起数は有意に増加した。これらのことから末梢神経系と同様、酸化型ガレクチン-1はマクロファージ(ミクログリア)を介して網膜神経節細胞からの神経突起伸長を促進する可能性が示唆された。2.コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(フォスファカン)による軸索再生制御の機構解明成熟ラット脊髄後根神経節の分散培養系で、フォスファカンが神経細胞の接着や神経突起伸長を阻害することを明らかにした。成熟ラットの脳から抽出したフォスファカンは、胎生ならびに新生ラット脳由来のフォスファカンに比べ阻害効果が強かった。その効果の差異に加齢に伴うコンドロイチン硫酸鎖の組成変化が関係しているものと考え、さらに検討をすすめている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Journal of Neuroscience Research 80
ページ: 191-202
Current Drug Targets 6
ページ: 385-394
Investigative Ophththalmology and Visual Sciences 46
ページ: 3420-3425
新薬展望2005(医薬ジャーナル増刊号) 41(S-1)
ページ: 224-230
Journal of Human Genetics 50
ページ: 460-457
末梢神経Peripheral nerve 16
ページ: 1-8