前庭代償前後において神経活動が変化する前庭神経核ニューロンはどのような特性を持つニューロンなのかを明らかにするため、我々はこれまで、健常動物における前庭神経核ニューロンの特性をin vivo標本においてホールセルパッチクランプ法を用いて調べ、3種類のスパイク後過分極(AHP)、4種類の発火パターン、3種類の過分極応答特性を明らかにした。本研究では、このような膜特性がin vivo標本においても見られるのかを調べるため、ラットのin vivo標本において、ホールセルパッチクランプ法による記録を試み、電流通電に対する電位応答を調べた。その結果、in vitro標本において得られたものと同じ膜特性がin vivo標本でも観察された。また、単相性のAHPを示すニューロンのほとんどがスパイクの発生が時間的に遅れる発火パターンを示し、二相性のAHPとスパイク後脱分極を示すニューロンのほとんどが電流通電に対し連続発火を示した。これらの特徴はin vitro標本で得られた特徴と一致するものであった。次に、自発発火の規則性についてin vitro標本で調べたところ、二相性のAHPを示すニューロンの発火パターンは規則的であったのに対し、一相性または一過性の脱分極が見られるAHPを示すニューロンの発火パターンは不規則であった。このような自発発火の規則性とAHPの関係はin vivo標本においても観察された。以上の結果から、in vitro標本で明らかになった膜特性、自発発火特性は、in vivo標本においても適用できることが明らかになった。
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