研究概要 |
上丘ニューロンと眼球運動発現のための脳幹核上性領域ニューロンを頭部無拘束の状態で細胞外記録し、頭部・眼球協調運動であるGaze Saccade発現において、これらのニューロンの機能的な役割を解明することが本研究の目的である。特に1)上丘の指令がどのように脳幹の中で頭部運動と眼球運動の成分に分けられるかという点と2)上丘の運動地図の意義の解明に焦点を絞り、研究を行った。覚醒動物(ネコ)を用い、完全な暗所で、水平方向のGaze Saccadeを行うよう訓練した。サーチコイルでネコの眼球運動を記録し、この信号をトリガに外乱(50-300msecの短時間、頭部を停止させる)を与えた。35度以上の大きい振幅のGaze Saccadeでは頭部を停止させると数十msec後に眼球運動が停止した。その後頭部を解放すると、頭部は再び目標に向かい動き始めるが、眼球は頭部と反対方向に動いた。結果的に頭部を解放した後も、視線が数十から数百msec停止する(gaze plateau, GP)ことがわかった。上丘中間層ニューロンの活動はGPの間、一定の発火頻度を保ち、視線と目標までの誤差に関連した発火様式を示した。このニューロンの一部は橋・延髄網様体に軸索投射していた。現在、薬物投与により上丘を不活化することを併用し、頭部運動、眼球運動、視線運動の軌道、速度について検討している。
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