研究課題
基盤研究(C)
研究の目的は、脊髄後角の痛み伝達制御におけるホスホリパーゼA_2(PLA_2)の役割をシナプスレベルで明らかにすることである。皮膚末梢から脊髄に入力する痛み情報の制御に重要な役割を果たす脊髄後角第II層(膠様質)における興奮性および抑制性のシナプス伝達に対して、PLA_2を活性化するメリチンがどんな作用を及ぼすかを調べた。実験は、成熟雄性ラットから脊髄横断スライス標本を作製し、膠様質ニューロンに通常のブラインド・ホールセル・パッチクランプ法を適用することにより行った。メリチンの灌流投与によりグルタミン酸作動性の自発性興奮性シナプス後電流(sEPSC)、GABAやグリシン作動性の自発性抑制性シナプス後電流(sIPSC)の振幅と発生頻度が増加した。いずれの作用もPLA_2阻害剤の前投与により抑制されたのでPLA_2活性化を介するものであることがわかる。これらのメリチン作用に及ぼすテトロドトキシンの効果を調べた所、sEPSCやグリシン作動性sIPSCの促進はいずれも影響を受けなかったが、GABA作動性sIPSCの促進は抑制された。また、メリチンによるGABA作動性sIPSCの促進はグルタミン酸受容体阻害薬存在下でも見られなかった。以上より、PLA_2活性化は直接グルタミン酸作動性の興奮性シナプス伝達とグリシン作動性の抑制性シナプス伝達を促進し、前者の促進作用はグルタミン酸受容体の活性化とニューロンの発火を生じる結果、GABA作動性の抑制性シナプス伝達を促進させると結論できる。脊髄膠様質のPLA_2活性化による興奮性と抑制性のシナプス伝達促進は、末梢から脊髄後角に至る痛み伝達の制御に関与することが示唆される。今後、PLA_2活性化がどんな状況下で起こるか、また、その活性化が興奮性と抑制性のシナプス伝達のいずれをより促進させるかを明らかにする必要がある。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (33件) 図書 (4件)
Journal of Neuroscience 27・16
ページ: 4443-4451
Pain Research 22・1
ページ: 11-18
Journal of Neuroscience 27-16
Pain Research 22-1
Cellular and Molecular Mechanisms for the Modulation of Nociceptive Transmission in the Peripheral and Central Nervous System (Edited by E. Kumamoto), Research Signpost, Kelala, India
ページ: 69-86
ページ: 87-111
ページ: 113-130
Peptide Science 2006
ページ: 246-247
ページ: 244-245
British Journal of Pharmacology 149・3
ページ: 319-327
Peptide Science 2005
ページ: 295-298
ページ: 299-302
Journal of Functional Diagnosis of the Spinal Cord 28・1
ページ: 16-24
Neuroscience 139・3
ページ: 1095-1105
Pain Research 21・3
ページ: 103-110
British Journal of Pharmacology 149-3
Journal of Functional Diagnosis of the Spinal Cord 28-1
Neuroscience 139-3
Pain Research 21-3
Neuroscience 135・2
ページ: 485-495
British Journal of Pharmacology 145・5
ページ: 602-607
Peptide Science 2004
ページ: 223-226
ページ: 227-230
ページ: 231-234
Pain Research 20・3
ページ: 105-110
Neuroscience 135-2
British Journal of Pharmacology 145-5
Pain Research 20-3
Recent Research Developments in Physiology(Edited by S. G. Pandalai), Research Signpost, Kelala, India
ページ: 39-57