研究概要 |
本研究は,我々が既に共焦点顕微鏡を用いて確立しているラット尿管蠕動運動の組織内平滑筋細胞Ca^<2+>動態観察を,CCDカメラを用いて高速化し膜電位と同時測定することを目的として開始された。 本年度はまず山下が,本学に配備されているAquacosmos(浜松ホトニクス)と新規購入した倒立蛍光顕微鏡(オリンパス)を組み合わせて,Ca^<2+>動態の観察を行った。通常顕微鏡を用いると空間分解能は低下するが,広範囲を観察することができるのでペースメーカー細胞の探索にはより適していることが判明した。さらに,CCDカメラにより共焦点顕微鏡より遙かに高速な観察が可能になった。 膜電位の測定に関しては,上記の観察装置を用いて最適な高速反応性蛍光指示薬の検索を行い,4-Di-ANEPSSを用いて15フレーム/秒の観察を試みている。次年度にかけてCa^<2+>動態との同時観察に発展させる予定である。 ペースメーカーモデルの構築に関しては,中林が腎孟尿管で観察されるCa^<2+>のふるまいをより簡単確実にシミュレートできる非線形素子の探索を行い,鉄の電気分解中に認められる現象を複数個組み合わせることに可能性を見いだした。現在この現象の詳細な解析を進めており,自励条件の決定に成功している。さらに複数の素子を興奮性および抑制性に結合する条件を決める作業を進めている。同時にこの現象をコンピュータープログラムに置き換える作業も進行中である。今後はプログラムを改良しCa^<2+>動態と膜電位観察をより精密にシミュレーションすることを目指す。
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