研究概要 |
線条体および前脳基底核を含むスライス内のニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行ない、種々のニューロンタイプの性質やシナプス伝達機構および修飾機構を解析した。 I)前脳基底核を含むラット脳スライス標本において、神経栄養因子受容体の抗体によってアセチルコリン性ニューロンを同定した。この方法によって、スライスパッチクランプ実験の際に蛍光顕微鏡下にアセチルコリン性ニューロンの同定が可能となり実験効率が格段に上昇した。 1)アセチルコリン性ニューロンにおいて興奮性シナプス後電流(EPSC)および抑制性シナプス後電流(IPSC)を誘発し、ソマトスタチンによるシナプス修飾機構の解析を行なった。その結果EPSCとIPSCが各々異なるソマトスタチン受容体サブタイプを介してシナプス前性に抑制されることを見出した(Momiyama & Zaborszky, 2006)。 2)アセチルコリン性ニューロンから誘発されるEPSCに対するドーパミン受容体を介する抑制機構の解析を行ない、グルタミン酸遊離抑制におけるドーパミンD1型受容体とP/Q型カルシウムチャネルとの選択的共役を明らかにした(Momiyama & Fukazawa, 2007)。 II)ドーパミン受容体サブタイプノックアウトマウスを用いて、線条体アセチルコリン性介在ニューロンから誘発されるIPSCの解析を行ない、刺激頻度依存的なGABA遊離抑制におけるドーパミンD2型受容体の関与を見出した(論文執筆中)。 III)パーキンソン病モデルラットに神経上皮型幹細胞を移植し、異常行動の改善を確認し、さらに、移植した細胞が宿主に生着して機能的ニューロンに分化することを見出した(論文執筆中)。
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