関節リウマチは関節炎を主徴とする全身症状を伴う自己免疫疾患であり、発症には複数の遺伝子座が関与することが知られている。我々はHTLV-Iのtaxを発現するTg(HTLV-I-Tg)マウスとIL-1RaKOマウスの2種類の関節リウマチのモデルマウスを独自に開発し、発症機構の解析を行ってきた。その中で、マイクロアレイ解析を行った結果、約200の遺伝子が両方のモデルで共通に発現亢進していることを見いだした。興味深いことに、これらの遺伝子の中にはC型レクチン遺伝子が含まれてた。関節リウマチにおけるC型レクチンの役割は全く知られておらず、本研究ではそれらのC型レクチンのノックアウト(KO)マウスを作製し、これらの遺伝子の、1.樹状細胞の分化・増殖における役割、2.抗原提示能におよぼす影響、3.関節炎発症における役割、を明らかにすることを目的とした。現在までにこのC型レクチンファミリーに属する遺伝子のうち、3種類のKOマウスを作製した。そのうち、Dectin-1はβグルカンのレセプターであり、サイトカイン産生と活性酸素種(ROS)を同時に産生することを明らかにした。また、病原性真菌であるP.cariniiの感染防御に重要な役割を果たしていることを示した。また、DCIRは細胞内に抑制性モチーフであるITIMを有するが、機能は不明であった。このDCIR KOマウスを作製したところ、自己免疫性の唾液腺炎や関節炎を自然発症する事を見いだした。さらにDCIR KOマウスはコラーゲン誘導関節炎に対する感受性も亢進しており、発症率が高くなっていた。このことから、DCIRは関節炎治療薬の標的となる可能性が示唆された。
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