研究概要 |
平成17年度の研究成果おいて,我々はヒトC反応性蛋白(hCRP)遺伝子導入ウサギ2系統のファウンダーを得ることに成功した(C205系統,C215系統)。残念ながら,いずれもファウンダーは雌であったため,実験に必要な数の遺伝子組換えウサギを得るために,まずは,遺伝子導入ウサギの雄(F1)を得てそれぞれの系統のコロニーを拡大する必要があった。そこで本年度は,まず,それぞれの系統についてファウンダー雌ウサギと野生型雄ウサギの交配を行った。その結果,いずれの系統も遺伝子伝達が確認されたF1を得ることができた。それぞれのF1ウサギの血中のhCRPの濃度を測定したところ,C205系統が7.3±1.0mg/dl(n=4),C215系統が122.0±13.4mg/dl(n=4)であり,遺伝子組換えウサギF1においてhCRPの産生が確認された。また,これら,F1ウサギの血漿脂質について測定したところ,血漿中の総コレステロール、トリグリセライド、HDL-コレステロールの値に対照群と差は認められなかった。 次に動脈硬化に関する検討を行うため,hCRP遺伝子組換えウサギの雄(F1)を用いてF2ウサギの繁殖を開始した。これまで,C205系統については順調にF2ウサギコロニーの拡大に成功しており,F2ウサギについて血中のhCRPを測定したところ,5.4±5.5mg/dl(n=22)であり,F2においてもhCRPの産生が確認された。いっぼう,C215系統については,F1以降原因不明の繁殖障害により実験用のF2ウサギを得ることが困難になっている。そこで,まずは,C205系統のF2ウサギを用いて動脈硬化に関する検討を開始することとした。現在,すでにhCRP遺伝子組換えウサギと対照ウサギ(同腹の遺伝子非導入ウサギ)に0.3%コレステロール添加餌の給餌を開始している。今後,16週目に解剖し,動脈硬化の発症・進展におけるCRPの影響について病理学的に検討を行う予定である。
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