研究概要 |
本研究において,我々は,肝特異的にCRPを高発現するように,plivHEG/LE6ベクターにヒトCRP cDNAを挿入したplivLE6-hCRPコンストラクトを作製し,これをマイクロインジェクション法によりウサギ受精卵前核内に注入した。注入後453個の胚を偽妊娠誘導した仮親ウサギの卵管内に移植し,全部で47匹の仔ウサギを得た。胚移植により生まれた仔ウサギから組織を採取し,遺伝子解析を行ったところ,5匹の仔ウサギにhCRP遺伝子が導入されていることが確認された。これらのうち,順調に離乳できた2匹(line C205とC215)からウサギコロニーを拡大し,血中のヒトCRPの濃度を測定したところ,C205系統が7.3±1.Omg/dl(n=4),C215系統が122.0±13.4mg/dl(n=4)であり,遺伝子組換えウサギF1においてhCRPの産生が確認された。また,これら,F1ウサギの血漿脂質について測定したところ,血漿中の総コレステロール,トリグリセライド,HDL-コレステロールの値に対照群と差は認められなかった。次に,動脈硬化に関する検討を行うため,コレステロール添加飼料を16週間負荷した。実験開始後,経時的に採血を行い血中の総コレステロールの値を測定し,遺伝子組換えウサギと対照ウサギで総コレステロール値が同じとなるように飼料中のコレステロールの値を調整した(0.075〜0.3%)。現在,コレステロール負荷は終了し,た。実験に使用した全てのウサギから病理学的検討のため大動脈および心臓を採取し,投稿論文作成のため,画像解析装置を用いた動脈硬化病変の測定等の詳細な解析を行なっている最中である。
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