研究課題
血圧調節機構・高血圧発症におけるα1アドレナリン受容体(α1A,B,D)の分子生物学的メカニズムを明らかにするために、それぞれの受容体の遺伝子改変モデル動物を作成し、分子レベルから個体レベルに至るまでの解明を行い、治療・創薬・予防への応用を図ることを目的として研究を行った。それぞれの受容体の遺伝子欠損動物(α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マウス、α1A/α1B/α1D三重欠損マウス)を作成し、循環調節機構を解析し、それぞれの受容体の生理機能を解析した。マウスの作成は、それぞれの欠損マウス(α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マウス)の交配を行い、マウス尻尾のDNAを用いてタイピングを行いマウスの遺伝子型を確認した。血圧は、Tail Cuff法を用いて収縮期血圧を測定した。α1アドレナリン受容体のサブタイプ単独欠損マウスの中でもα1A欠損マウスおよびα1D欠損マウスは、低血圧を呈していたのに対して、α1B欠損マウスは、血圧に変化は見られなかった。さらにα1アドレナリン受容体の3つのサブタイプ全てを欠損しているα1A/α1B/α1D三重欠損マウスでは、血圧はさらに低下していた。この結果より、末梢血管における血圧調節機構にはα1アドレナリン受容体の中でもα1Aおよびα1Dサブタイプが重要な働きをし、α1B受容体の関与は少ないものと考えられた。この結果は、今後薬物受容体特異的薬物の開発において薬物の効果・副作用を予測する上で非常に重要な知見となり、薬物開発に有用であると考えられる。また、それぞれの受容に作用する十分な特異的薬物が存在しない現在では、モデル動物は、個体レベルにおける受容体の評価系としては非常に有用となると考えられる。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Br.J.Pharmacology. 144
ページ: 558-565
Mol.Pharmacol. 67
ページ: 912-922
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 289・2
ページ: H744-H753
Br.J.Pharmacology. 146・3
ページ: 456-466
Auton Autacoid Pharmacol. 25
ページ: 179-183
Br J Pharmacol. 146
ページ: 942-951