研究概要 |
血庄調節機構・高血圧発症におけるα1アドレナリン受容体(α1A, B, D)の分子生物学的メカニズムを明らかにするために、それぞれの受容体の遺伝子改変モデル動物を作成し、分子レベルから個体レベルに至るまでの解明を行い、治療・創薬・予防への応用を図ることを目的として研究を行った。それぞれの受容体の遺伝子欠損動物(α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マワス、α1A/α1B二重欠損マウス、α1D/α1B二重欠損マウス)を作成し、血管内皮損傷後の血管の肥厚について解析した。マウスの作成は、それぞれの欠損マウス(α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マウス)の交配を行い、マウス尻尾のDNAを用いてタイピングを行いマウスの遺伝子型を確認した。血管内皮の損傷は、マウス大腿動脈にガイドワイヤーを挿入し内皮の擦過を行い、4週間後の内皮の増殖を観察した。その結果、α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マウスでは、コントロールと同様の内皮の増殖が観察されたが、α1A/α1B二重欠損マウスでは、肥厚が抑制されていた。α1D/α1B二重欠損マウスでは、コントロールと同様の結果が見られた。 この結果は、内皮損傷後の内皮の増殖にα1AおよびB受容体が関与していることを明らかにしたもので、今後心臓カテーテル法による冠動脈拡張後の冠動脈の再閉塞のメカニズムの解明ないし予防に役に立つものを考えられる。
|